本とは、ぼくらの内の氷結した海を砕く斧でなければならない

フランツ・カフカ/František Kafka(チェコの作家)

「本とは、ぼくらの内の氷結した海を砕く斧でなければならない」

「Ein Buch muss die Axt sein für das gefrorene Meer in uns. Das glaube ich」

フランツ・カフカ/František Kafka

 

この言葉は、フランツ・カフカが20歳の時、友人のオスカー・ポラックへの手紙(1904年1月27日)で述べたものです。

この手紙でカフカは読書についてこう書いています。

 

「いったい何のために本を読むのか?本なんか読まなくてもぼくたちは幸福になれるだろう。いいかい、必要な本というのは、苦しくて辛い不幸のように、誰よりも愛している人の死のように、全ての人から引き離されて森に追放されたように、自殺のように、ぼくらに作用する本のことだ。本とは、ぼくらの内の氷結した海を砕く斧でなければならない

 

カフカはネガティブな言葉を使うことが非常に多かったので、自殺や追放などという物騒な言葉をあちこちで使っています。

それによって、解釈が難しくなって、結局何を言いたいのかよく分からなくなってしまった言葉も数多くあります。

 

しかし、この比喩の意味をこう捉えれば、「本が私たちが気づいていない感情や思考に気づかせてくれる」ということではないでしょうか。

  • 「氷結した海」=「読者が気づいていない内面の感情や思考など」
  • 「斧」=「本」

 

本が単なる情報を得るものだけでなく、読者自身に新しい視点や考え、自己発見を与えてくれる道具であるともいえますね。